地域がワンチームになって支える医療現場での学びの一歩

日本は、超高齢・少子・多死社会に突入しています。
高齢化および人口減少に対応するため、医療システムは病院完結型医療から地域完結型医療へとパラダイムシフトをしています。
病院医療が再編成されることで、1つの病院に長期入院・療養するのではなく、病状に合わせて利用の場を変え、住み慣れた地域や在宅で暮らすことを目指すようになりました。
病気や障害を抱えながらも、住み慣れた地域での暮らしを支えるには、医療が生命線と言えます。

GKUが立地する岐阜県の西濃地域は、水と緑の豊かな2市4郡からなり、山間地域が多いことが特徴ですが、一部の地域では高齢化や過疎化が進行しています。
このような地域においても、病院の中で完結する医療だけでなく、地域という大きな枠組みの中で医療体制を維持していくことが大切です。しかし、地域で暮らす人々のニーズに応えていくには、人材不足が大きな課題です。

この課題を解決するひとつの方法として、医療ボランティアがあります。
GKUの看護学部は、この医療ボランティアを始めようと地域の医療施設に申し入れたところ「揖斐郡北西部地域医療センター 山びこの郷」にその願いが届きました。

このセンターは「地域で育てて、地域でともに育つ」を合言葉に、地域医療教育、チーム医療教育などに力を入れており、地域と一体となって健康で豊かに暮らす取り組みをしている施設です。
その中でも特に多職種連携教育(IPE)と呼ばれるチーム医療については、独自に勉強会を開くなど積極的に推進しており、学生たちの成長にも最適な施設でした。

2020年の夏から秋にかけてボランティアを実施。施設内のイベントに参加する利用者の皆さまを車椅子で移送し、コミュニケーションを取ることが主な活動でした。
学生たちは普段あまり接点のない高齢者との接し方に戸惑いながらも、回を重ねるうちにしっかりと目線を合わせ、笑顔でコミュニケーションできるようになりました。
ときには利用者の言葉に感動して涙を流すシーンもあったほどです。
さらに医師、看護師、介護職員などともコミュニケーションを取ることで、多職種連携の重要性も学ぶことができました。

大学を飛び出し、見知らぬ山間地域でのボランティアは、まさに冒険と成長の日々。
この経験によって、学生たちは大きく視野が開かれたと思います。

今後、このような活動を継続的に行っていくことで、地域医療が大きなワンチームとなって、点在する山間部の医療の一端を担えるような活動に発展することを期待しています。


看護学部 馬場 貞子 先生

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